僕の肺をあげるから、君の心臓をちょうだい



驚かれることには慣れているからなのか、そう言うと彼女は引き下がった。

少しだけ、なぜ自分のことを『僕』と呼ぶのか気になったが、初対面で訊くのは失礼だろうと思い、別の質問を投げる。


「渡未さんは、いつもここにいるの?」

琢磨は空を見上げながら尋ねる。
咲来も空を見上げて答えた。


「ううん、日によってバラバラ。
僕の気分次第かな?」

いつもいるわけじゃないのか。


「明日もここに来る?」
「さぁ、どうだろう?」
「来てよ」

あたり前のように琢磨が言う。
咲来はあたり前に訊き返す。


「どうして?」
「俺、君ともう少し話をしてみたい」
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