僕の肺をあげるから、君の心臓をちょうだい



━━━5日後。
今日は晴れているから屋上にいるだろう。
琢磨はそう思って屋上に向かう。


屋上に続く階段を上っている途中で、コツンと足のつま先に何かが当たった。




「何だこれ?」

琢磨が拾い上げたのは、文庫本より少し大きめのメモ帳だった。そして、それには見覚えがある。

初めて咲来に声を掛けた時、彼女が咄嗟に閉じたあのメモ帳だ。
その証拠に表紙には彼女の名前が書いてある。


表紙をめくる。

白いページに綴られた文字はたった2つ。
筆跡が表紙の名前と同じことから、それが彼女の文字であることを理解する。

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