軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「はい……ありがとうございます」


 レイヴンは島を出て自由になったとしても、行き場のないセレアを心配して言ってくれたのだろう。


(でも、胸が痛い。泣きたいくらいに悲しい。きっと私は……)


 自分にはない強さを持つ彼に、惹かれている。


 だからこそ、心が伴っていない以上、どの言葉もセレアの心を冷たくしていく一方だった。


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