軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「ここでお前の身柄を預かるには、絶対的な理由が必要だ」
「理由ですか?」
耳打ちされたので、セレアも声を潜めて答えた。
「あの絶対不可侵の島から来た女を宮殿に匿うとなれば反感を買う。だがら、妻として側に置く方が都合がいい」
(都合がいいって……好きでもないのに、レイヴンは私を妻にするというの?)
ふと、心に落ちる影。形だけの妻に自分の求める自由があるのだろうか。そんな不安が胸の中で渦巻くも、ほかに行き場がないセレアは力なく頷く。
「悪いようにはしない」
彼は見た目に反して優しい。けれど、今はその冷淡な瞳がよりいっそう、冷たく見えてしまった。