軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「汝、セレアはレイヴン・ヴォルテールを夫とし、永遠に愛し添い遂げることを誓いますか?」


 誓う言葉の重みに、胸が押しつぶされそうになる。


(レイヴンにとってはなんてことない言葉でも、私にとっては大切な言葉なのに)


 ジワリと涙が滲む中、震える声で答える。


「……誓います」


 泣き顔を見られないように俯いて、唇を引き結ぶ。

 しかし、すぐに誓いの口づけをすることになり、絶望的な気持ちでベールを上げられるのを待った。

 でも、そのときはいつになっても訪れない。


「セレア」

「え?」


 不思議に思って顔を上げようとすると、力強い腕に抱きすくめられる。


 見守る参列者たちからは「照れている花嫁を想っての行動ね」、「なんてお似合いの夫婦なのかしら」という声がちらほら聞こえた。


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