軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「皇帝陛下!」


 ひとり悶々と考えていると、広間にべリエスの下で剣を振るう兵が現れる。即座に表情を消し、皇帝の顔を装った。


「なにがあった?」

「東のパゼル帝国が国境を越えて、イザナギ帝国に攻め入りました」


 この大陸を二分する両国の間には、平坦な荒野が広がっている。そこでは両国の国境守備軍が年中無休で睨み合っている状態だった。


「それで? 状況を報告しろ」

「現在、べリエス軍事司令官の指揮のもと国境の守備軍で抗戦。援軍の要請がありました」


(べリエスがいるなら、ひとまず安心だな)


 この国の最強の剣であり盾である軍事司令官は、そう簡単にやられる玉ではない。それほど信を置いている忠臣だった。


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