軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「お前は、この国の皇妃にふさわしい強さを兼ね備えていたのだな」


 セレアを抱き上げたまま、レイヴンは器用に髪を梳いてくれた。


「あなたの守りたいものだから、私も命懸けで守りたかったのです」

「その言葉は嬉しいが、お前の命は簡単には奪わせん。この俺が神からも守り抜く」


 強い意思を込めて、誓うように告げられる。セレアは歓喜のあまり震える吐息をもらし、目尻に涙をためながら微笑んだ。


「ええ、私を離さないでください」


 嬉しくても涙が出ることを、彼に出会って初めて知った。


(この人と、どこまでも生きていこう)


 近づいた距離のせいなのか、涙のせいなのか。レイヴンの顔がだんだんぼやけていく。示しを合わせたわけではなく、自然とお互いに唇を寄せ合った。


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