軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「やあ、回廊からきみの姿が見えてね」
「そうだったの、声をかけてくれてありがとう。丁度、暇を持て余していたのよ」
ふと神殿にいたときと比べれば会えている方ではあるが、アグニとこの宮殿で話すことは減ったなと思う。
それだけ彼も、この場所で居場所を見つけつつあるのだろう。それを少しだけ寂しく思った。
「それなら話をしないか? 俺も休憩中なんだ」
「え、本当に!?」
このままひとりで舞踏会までの時間を過ごすのは、正直言ってしんどい。
読書に没頭する気分でもないし、そうなるとほかにやることも思いつかないので、彼の提案が素直に嬉しかった。