軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「やあ、回廊からきみの姿が見えてね」

「そうだったの、声をかけてくれてありがとう。丁度、暇を持て余していたのよ」


 ふと神殿にいたときと比べれば会えている方ではあるが、アグニとこの宮殿で話すことは減ったなと思う。


それだけ彼も、この場所で居場所を見つけつつあるのだろう。それを少しだけ寂しく思った。


「それなら話をしないか? 俺も休憩中なんだ」

「え、本当に!?」


 このままひとりで舞踏会までの時間を過ごすのは、正直言ってしんどい。


読書に没頭する気分でもないし、そうなるとほかにやることも思いつかないので、彼の提案が素直に嬉しかった。


< 189 / 281 >

この作品をシェア

pagetop