軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「ふふっ、なんのお話をする?」


 思わず弾んだ声を上げると、彼は幼い頃から変わらない兄のような眼差しで受け止めてくれる。


「そうだな、まずは座ろうか」


 アグニはセレアの背に手を添えて、庭園の中にあるベンチへと促す。ふたり並んで腰を下ろすと、お互いの近況や昔話に花を咲かせた。


 気心が知れている彼の前では、自然体でいられる。皇妃になってからというもの、他国の皇帝に会ったり、重臣やレイヴンのご両親である前皇帝、皇妃様と話す機会も増えて、毎日気の抜けない日々が続いた。


晩餐会に招かれたときには、食事が喉を通らないこともあった。とはいえ、レイヴンに対しては敬語が崩れてしまうときがある。


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