軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「ゆっくり、深呼吸して話すがいい」

「はっ、はい」


 言われた通りに何度か深呼吸をすると、侍女は真っ青な顔で唇を震わせながら告げた。


「セレア様が、いなくなられました」


(なん……だと?)


 サァーッと血の気が引いていくのを感じながら、頭ではまだ理解できずにいた。生まれてこの方、恐怖というものを味わったことがなかったレイヴン。


 このとき初めて、薄い刃物で背をなでられるような戦慄を味わった。



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