軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
自分の中にこのような残酷な感情があることを初めて知った。
「あなたがこの神殿を出て行ったと聞いたときは、殺してしまいたいほど憤慨しましたよ」
相変わらず下卑た笑みを張りつけて、ゆっくりとこちらに歩いてくる大神官フェンリル。
(嫌、来ないで……)
距離が近づくたびに、恐怖で体が鉛のように重くなる。
「秘密裏に送り込んだ神官からの知らせでは、純潔を捨てたとお聞きしましたが」
「っ……だとしたら、どうするというのですか」
(いっそ、それで聖女の資格はないと私を諦めてくれないかしら)
そんな期待を抱きながら、目の前にやってきたフェンリルを睨みつける。彼はこちらを冷たい目で見下ろして、無遠慮にセレアの髪を掴んだ。