軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「ごめんなさい、ごめんなさいっ」
泣きながら獅子神に抱き着き、その体を労わるように撫でる。
(私を逃がしたせいで、この子はさらに自由を奪われていたのね。獅子神が苦しんでいる間、私だけがレイヴンに大切にされ、幸せを感じていたなんて……)
罪悪感に押しつぶされそうになったとき、バタンッと楽園の扉が開く。
「目覚めたようですね、聖女様」
「……フェンリル」
怒りだろうか、恨みだろうか。黒くてドロドロとした気持ちが混ざって絡まり、深くて重い闇を宿したような低い声を生む。
視線で誰かを殺せるのなら、どんなによかっただろうか。そう思うくらい、楽園の入り口に立つ男をキッと睨みつけた。