軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「理不尽に娘を奪われる社会を、正しいと皆さんはお思いですか?」
その言葉は口調こそ落ち着いているが、娘を奪われた親の悲痛な魂の叫びを感じさせる。
それが皆にも伝わったのだろう。セレアやその家族を犠牲にのうのうと暮らしてきた罪悪感からか、民は渋い顔で受け止めていた。
「後ろめたさに胸を張れないような、そんな生き方はするな!」
レイヴンも老夫婦の隣に立ち、説得する。それを頼もしそうに見上げる妻の両親の視線を頬に感じながら、民たちが賛同するように頷いていく姿を見届けた。
そしてようやく民の気持ちが落ち着いたところで、レイヴンはセレアの両親へ向き直る。
「ご挨拶遅れまして申し訳ない。私はイザナギ帝国、第十四代皇帝レイヴン・ヴォルテール、セレアの夫なる者だ」
敬意を払うように地に片膝をつける。自分の愛した人を生んでくれた両親だ。皇帝という肩書は抜きにして、礼儀を尽くしたかった。