軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「あなたは狂ったりなどしないわ」
「俺を見くびるな。お前のことになると平静でいられん」
期待のし過ぎだとでも言いたげに眉間に皺を寄せるレイヴンは、少し怒っているようにも見える。
彼の想いを否定したわけじゃないのだが、勘違いさせたみたいだ。でも申し訳なさよりも、セレアの心には愛しさがあふれている。
「見くびるとかじゃないの。あなたは誰かを不幸にするような、そんな選択はしないと信じているだけよ」
「過大評価だな、夫贔屓か?」
からかうような言い方に、それは大いにあり得ると思わずクスリと笑ってしまう。するとレイヴンは、のぞき込むように顔を傾けて瞼に唇を押しつけてきた。