軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「どうした、良い事でもあったのか?」


 イザナギ帝国の宮殿へ帰還した日の夜、寝台に腰かけて今までのことを振り返っていると隣にレイヴンが腰かけてきた。


 どうやら不安の種が消えて、皆が幸せへの一歩を踏み出した喜びに顔が緩んでしまっていたらしい。


「あなたのおかげで両親にも会えて、獅子神も自由になれた。本当にありがとう」


 そう、あの後獅子神は鎖と楽園から解き放たれて、自然へと帰っていった。その背中に翼でも生えたかのように、軽い足取りで去っていく彼の姿が瞼の裏に浮かぶ。


 今頃、自然を駆け回っているに違いない。


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