軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「なに、夫婦なのだから助け合うのは当然だ。だが、アグニのことは残念だ。べリエスも自分の右腕にしたかったようでな、島に残ったアグニをもっと引き留めればよかったと悔やんでいたぞ」


 それは、セレアの耳にも入っていた。大切な幼馴染が色んな重役に認められるのは、誇らしいので嬉しい。


ただ、「忙しい」が口癖のべリエスの負担が減らないのは不憫に思った。


「お前も寂しいか、アグニがいなくて」

「また、その話?」


 確かこの国に来たばかりのときも、アグニが好きなのではないかとあらぬ疑いをかけられてすれ違ったことがある。


 彼はめったに弱気な姿を見せないが、セレアのこととなると自信がなくなるらしい。たびたび、こうして試すような言い方をする。


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