軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「っ、セレア、セレア」
ちゅっと音を立てて唇が離れると、今度は耳介を食まれたまま何度も名前を呼ばれる。唇は触れるか触れないかの絶妙な距離で肌をなぞるので、ぞわりと肌が栗立った。
純潔を失うことに、恐怖がないと言えば嘘になる。それはこれから訪れる痛みに対してだけではなく、聖女として生きたもうひとりの自分に別れを告げなければならないからだ。
未練などない。だが彼女もまた、今の自分を構成する大切な一部だ。
(さよなら、愛を知らずにいた孤独だった私……)
名前を呼ばれるたびに、恐怖も和らいで次第に彼のことしか考えられなくなる。
そして腰を引き寄せられると、動きを止めた彼は静かに告げた。