軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「そうだ、外の話を聞かせてくださいませんか? 私、この後やることがないんです」
「聖女は暇なのか?」
暇というより、象徴は飾り物でなければならないので、なにもできないのだ。そう、なにかしたくても言葉を発することすら許されない。
自分の存在が大神官の道具でしかないと言葉にするのは虚しすぎて、呆れるレイヴンを前に曖昧に笑うことしかできなかった。
「レイヴンの国はどんなところですか?」
「俺の国はイザナギ帝国といって、どこの国よりも芸術性に優れた国だ。名だたる画家や音楽家、彫刻家を輩出してきたからな」
(イザナギ帝国……初めて聞いたわ)
この島にはこれといって有名なものはない。しいていうなら海に囲まれ、東に位置する鉱山や西の森といった広大な自然ぐらいだろうか。