軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


(この国は、やっぱりおかしいのよ)


 それに気づいている民や神官は、いったいどれだけこの島にいるのだろうか。レイヴンとの話の途中で考え込んでしまうセレアは訪れた静寂にハッとする。


「ごめんなさい、ボーッとしてしまって」

「別に、かまわん」


 笑顔を繕うセレアの顔を思案顔で見つめるレイヴン。なにか言いたげに見えたが、この人はこの島の事情には関係のない人だ。


 だから余計なことを話して、危険な目に合わせることだけはあってはならないと不安をぶちまけたくなる気持ちを堪えた。


< 40 / 281 >

この作品をシェア

pagetop