嘘
「今日・・いつもの時間まで図書室で・・本を読んで、帰ろうとしたら、
3年生の・・眼鏡かけた人に・・・呼び出されたの・・。」
「あのよく図書室にいる人?」
「前に・・河原君が喧嘩の止めに入った人・・・。」
あれか!
5組の2人組と揉めかけた眼鏡さんか!
「・・それで・・誰もいない部屋に連れて行かれて・・・
・・“付き合って欲しい”って・・・。」
「・・・告られたんだ。」
「私びっくりして・・
・・でも・・断ったの・・。」
「それはまぁ、好きじゃない人と無理に付き合う必要もないしね。」
「私・・・頭の中が・・混乱しちゃって・・そのまま帰れなくて・・ずっと学校のトイレに籠もって・・」
「それでこんな時間になっちゃったんだね。」
・・・ちょっと待て。
この話のどこに泣く要素があるんだ。
告白されて、断っただけじゃないか。
「別に松尾さんがそんなに泣く必要ないよ。
眼鏡さんは・・」
「違うの!」
「うぉ!」
普段大人しい子が急に大きな声を出すとびっくりする。
「私には・・ずっと・・ずっと好きな人がいるから・・・・
でも男の人に告白されたのなんて初めてで・・・頭の中が・・
・・・・・そんな時に・・河原君が・・河原君がいるから!」
「俺のせい!?
待って、よく分からない。」