嘘
“ドンッ”
ミサキが最後の力を振り絞って俺を突き飛ばした。
ミサキを見ると、その目には言うまでもなく大粒の涙が浮かんでいる。
嗚咽を漏らしながら、外れたシャツのボタンを必死にとめていた。
「なんで・・・・・
なんで・・・こんなことするの?」
・・・・・
・・・・・
【なんでこんなことするの?】か・・・。
「いいかミサキよく聞け。
このまま俺と付き合っていたほうが、
お前の為になるから、
俺と別れるな。」
再びミサキを押さえつけ、乱暴に俺の唇を押しつける。
・・・今度はすぐに抵抗できるよう、力を抜いて・・・
「いや!!」
“バシッ”
頬に痛みが走った。
「・・あ・・・・」
俺にビンタをしたその手は、先程までの俺のように震えていた。
・・・・よく・・頑張ったな・・
「・・・もう・・・いや・・・。」
ミサキは自分の鞄を手に取ると、逃げるように部屋から走り去った。