ボイスレコーダーは電源が入っていたようだ。

ちょうど俺が座ったはずみで止まったらしい。



多分、今日母ちゃんが座ったときに偶然スイッチが入ったのかな。


念の為、録音内容でも聞いてみるか。



再生ボタンを押す。











・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・


久しぶりだねぇハルイチ君。ちょっとお茶でも飲んで行きなさいよ。


あ、はい。ありがとうございます。


わぁ。プリンかい?


親父が出張で京都行ってて、土産に買ってきてくれたんですけど、良かったらハヤタと食べてください。


わざわざありがとうね。




おばさん、俺今日の午前中試合だったんですけど、2点決めたんですよ。

ここ最近スランプになってて、自信無くしてたときにハヤタにアドバイス貰って・・。

だから、これは俺からの感謝の気持ちっす。




そうだったんだねぇ。
ごめんね、あの子もサッカー部一緒に入ってれば良かったのに。


あ、いえ。俺ハヤタの分まで頑張るって決めてここまで頑張ってきたんで。



急に“勉強に専念するからサッカー部に入らない”って言い出した時はどうしたものかと思ったけど、ハルイチ君も納得してるようで良かったよ。



・・・・はい?



成績上がったから良かったけど、やっぱりサッカーは続けて欲しかったんだけどねぇ。



ちょ、ちょっと待っておばさん。ハヤタって病気じゃないんですか?


・・・・何の話だい?
あの子は風邪の1つも引かない丈夫な子だよ。



・・・・・・あ、いえ。すみません。





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