嘘
「病気のこと・・・嘘だったんだな?」
「・・・本当だよ。」
「今日、お前ん家行ったよ。」
「知ってる。母ちゃんから聞いた。」
「おばさん、病気のこと何にも言ってなかったぞ。」
「・・・・・」
「なんだよ・・・・“勉強に専念したい”って・・。」
「・・・・・」
ハルイチがボールを足元に止めて近寄ってくる。
「なんで・・嘘ついたんだよ・・。」
「だから嘘じゃ無・・」
「ふざけるなよ!!」
ハルイチに胸ぐらをつかまれた。
「ずっと俺の事を騙してたのか!?
夏目に言ってた“サッカーは嫌い”がお前の本音だったのか!?」
「・・・・」
「答えろよハヤタ!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「俺はお前の事が嫌いだったんだよ。」
「・・え・・・」
ハルイチの手が離れた。
「お前とサッカーやるのが嫌だったんだよ。
お前とは中学で別れられると思ったのに、同じ高校志望しやがってよ。」
「な・・なに訳の分からないこと言ってるんだよ。
・・ここで・・何度も一緒に練習したじゃないかよ!」
「たまには相手がいないとつまらないからお前を呼んだだけ。
ホントは嫌だったけどな。」
「・・・・・」
「・・・・・」
「俺達・・・ずっと一緒にやってきた友達だろ?」
「・・・お前なんか・・・
・・友達じゃねーよ・・・。
ようやく言えてスッキリしたわ。
じゃあな。もう俺に関わるな。」
「・・・・・」
呆然とするハルイチを背にし、公園を出る。