鬼の生き様
「それにしても、トシと惣次郎は似てるな」
勝太はからかうようにそう言うと、歳三は顔を赤らめた。
「あんなガキと一緒にすんじゃねえ」
傷だらけの身体が、歳三を蝕んでいる。
「似ているさ。武士になりたくって必死に剣を振るうお前と、大人として認められたくて必死に剣を振るう惣次郎」
「大人になりたい?
いずれ大人にゃなるんだぜ」
「焦っているんだろう。
惣次郎はな、ああ見えて幼い頃に両親を亡くしたんだ。
そして姉夫婦に育てられ、口減らしの為に九歳の時に試衛館にきて内弟子となった。
剣術と出会って、あいつはようやく自分の居場所とやらを見つけたのだろう。
一心に剣を振るい、誰にも負けぬと人一倍努力をしたんだ」
惣次郎は竹刀を握っていないときは天真爛漫、子供のままだが、竹刀を握ると一変して細い目は鋭くなりまるで別人のようになる。
二面相のような惣次郎の人柄の裏側には、そういった哀しい過去があったのだ。
「関係ねえな。
俺だって両親を早くにして亡くしてる。
親父に関しちゃ、俺が生まれる前に労咳で死んでる。
あいつの過去は興味ねえ、俺が興味あるのは武士としての今の惣次郎のみだ」
歳三はそんな話を聞きながら、道場へ戻り素振りを始めた。
早く強くなり、誰にも負けたくない、ただ一心で剣を振るっていた。