残り100日の私と大好きな君
そんなある日のこと

「ねえ、咲楽ちゃん、もし咲楽ちゃんがいいなら…だけど、気晴らしにプレイルームまで言ってみない?」

いつものように今日もベッドの上で過ごすと思っていた私はとても驚いた。

正直、副作用はまだあるし体だっていつのみたいに辛い。

でも、それよりもこんなつまらない毎日が辛かった。

そんな私にとっては、とても嬉しい提案だった。

少し辛いかもしれないけど、そのくらい大丈夫だよね

「うん、行く!私も行きたい」

そう言うと奏汰くんはニッコリ笑って、車椅子を用意してくれた。

ゆっくりベッドから降りて車椅子に乗る

少しふらついたけど、久しぶりにベッドから降りて病室から出た。

プレイルームは病室からすぐで、とても見晴らしの良い場所だ。

「毎日、ベッドの上じゃ気も滅入るでしょ?これから、たまにはこうやって、病室の外出てみようよ。プレイルームだけじゃなくて、許可とかも貰えたら外に散歩も行ってみよう?きっと、楽しいよ。」

そう言って奏汰くんが指をさしたのは窓の外から見える、永遠に続きそうなくらいの真っ青な海だった。

最近は、寝てばっかりで忘れていたけど、この病院は海の近くに建っていたんだ。

もし、病状が少しずつ良くなっていけば、海も行けるのかな…

奏汰くんと一緒に出かけたいな

それは、期待と同時に辛さも感じる景色だった。

もし、このまま死んじゃったら、もうこの景色も見れないし、奏汰くんと出かけることも、喋ることも出来ない。

こうやって楽しい出来事がある度、辛さも同じ分だけ……いや、それ以上かもしれない。

辛さはどんどん増えていく。

昼間笑えることが多くなればなるほど夜流す涙は増えていった。
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