学年一の爽やか王子にひたすら可愛がられてます
「よし。それで?緒方さん、俺になんか言おうとしてたよね」
女の子たちが出て行ったことを確認した柊くんがそう言った。
もしかして…私の話聞くためにわざわざ?
「あ、その…大したことじゃないんだけど」
「うん。なに?」
三角座りした膝に腕と顔を置いてこちらをジッと見つめる柊くん。
あぁ、ずるいなぁ。
かっこいいよ。
「…これ…昨日の今日で持ってくるの…すごく迷ったんだけど…でも…すごく…嬉しかったから。話しかけてくれて…」
顔を隠すように、ランチバッグから取り出したタッパーを柊くんに差し出す。
「え、もしかして…これ」
「うん。春巻き…です」
引いてるかな。
怖いって思われないかな。
重くないかな。
震えそうになる手に意識を離すようにして、顔を芝生に向けたまま。
そっと、持ってたタッパーが手から離れていったので、柊くんの方へチラッと目を向ける。