学年一の爽やか王子にひたすら可愛がられてます

柊くんは、すぐに2本目を口の中に含んでは「うまいうまい」と喜んで食べてくれる。


よかった。


作ってよかった。


私の料理をこんなに美味しそうに食べてくれるのは、柊くんと悠ちゃんくらいだ。


まぁ、他に誰に作ったことあるのかって聞かれたら、お母さんくらいしかいないんだけど。



「緒方さん、これ俺のこと考えて作ってくれたの？」


っ？！


少しニヤッと笑った柊くんが意地悪にそう聞いてきたので、私の顔はまたみるみるうちに熱を持つ。


「すごく嬉しかったので…」


影に隠れてるような私を見つけて、声をかけてくれて、笑いかけてくれて。


素直に、すごく嬉しかった。



「そっか。でもさ〜そういうこと言われちゃうと、勘違いしちゃうよ？」


「えっ？」


「ううん。なんでもないっ。ほら、緒方さんもご飯食べな〜冷めちゃうよ〜」


柊くんはそう言って、また何本目かの春巻きを口に入れた。


「フフッ、お弁当はもともと冷めてるよ」


思わず、柊くんの冗談に笑ってしまった。