学年一の爽やか王子にひたすら可愛がられてます
「…ね?…静音?」
「ひっ、ご、ごめんなさいっ」
柊くんに顔を覗かれて、ハッと我にかえる。
「どうしたの?なんか元気ない。連絡も全然取れなかったし…なんかあった?」
どうしよう。
今ものすごく。
優しくしないでほしい。
柊くんと私が関わってしまったら。
鈴香ちゃんを傷つけてしまう。
「ごめんなさいっ、私…用事が…」
「えっ、ちょっ…」
私は、柊くんに背中を向けると思い切り走って、体育館の玄関へと向かった。
たくさん優しくしてもらったのに、こんな風に逃げるなんて最低だ。
だけど…私にとって、鈴香ちゃんの笑顔も失いたくないから。
「静音っ!」
っ?!
体育館を出て、渡り廊下を早歩きしていると、手首を掴まれた感触と同時に、大好きな声がした。