それもまた一つの選択
「今度の土曜日、学校終わってから一緒にお茶でもしない?」
文化祭も終わって、季節は徐々に秋から冬へ向かい始めていた。
「えっ、是非!」
平野さんからの思いがけないお誘いに私はウンウン、と何度も頷くと彼女は優しく微笑む。
…やっぱり可愛いなあ、平野さん。
私とは全然違う。
「やったあ!」
そんな、平野さんに喜ばれるなんて…。
友達ってこんなにも自分を幸せにしてくれるんだなあって思う。
「というわけで今度の土曜日は行けない」
その夜、トキさんに電話をした。
もう、私。大興奮で報告したんだけど…。
トキさん、残念がるって思っていたのに。
「そう、ちょっと残念。まあ、俺も用事あるけど」
トキさんは電話越しに何だか面白そうに笑っている。
「どこか行くの?」
時々、トキさんは大学の友達と飲み会に行ったりしてるのでそれかなって思ったんだけど。
「秘密」
ケタケタと笑うので何だか腹が立ってきた。
「トキさん、愛人と一緒なの?」
「遥、俺の事疑ってるの?」
腹立ち紛れに言っている様子でもなく、私をからかっている。
「…だって秘密って言うんだもん」
「秘密=愛人って短絡的」
トキさん、笑いすぎ!!
「もう切る」
と言って私はあっさりと切った。
トキさんが私に電話を掛けてくることはない。
家に電話することになるし。
私はトキさんに掛けるけど。
「…トキさんとせめて同い年だったらなあ」
思わず呟く。
こんな距離感、感じないのかもしれない。
トキさんと同い年なら。
もう、こんな家出て行ってトキさんの家に居候させてもらう。
だって20歳だし!!
親の同意なしに結婚できるし!!
そう考えて、また落ち込む。
私、トキさんと結婚することはないと思う。
年明けにお見合いするんだって、私。
相手がトキさんならいいのに…。
そう思ったら再びトキさんに電話を掛けていた。
「遥だろ?」
電話に出た瞬間、トキさんはそう言った。
「うん」
でも、何を言えばいいのか。
言葉が出てこない、沈黙を破ったのはトキさん。
「遥、俺に何か隠し事してない?」
いきなり直球投げられた!!
「…トキさん、会いたいなあ」
午後9時、到底家の外に出られない。
「また、日曜日に会えばいいだろ?」
「…トキさんとずーっと一緒にいたいなあ」
自分の太ももにポタポタと落ちる冷たい滴。
トキさんのため息が聞こえた。
「遥、一緒にいたいからといって、ご両親が言っている事を無視しちゃいけないと思う」
そうなんだけど。
でもね、トキさん!!
「俺、いつか認めてもらえるように頑張るから」
「…ありがとう」
でも、その前に。
私は…。
「ただ、遥を誰かに横取りされる、とかそういう事があるならば」
トキさんの声のトーンが低くなった。
「俺はそれなりの手段に出るけど。遥は誰にも渡さない」
涙が溢れ返ってしまった。
初めて、トキさんの前で号泣した。
と言っても電話越しだけど。
きっとトキさんは。
ずっと前からそういう事に気が付いていたんだと思う。
それは後から気付いたことだけど。
文化祭も終わって、季節は徐々に秋から冬へ向かい始めていた。
「えっ、是非!」
平野さんからの思いがけないお誘いに私はウンウン、と何度も頷くと彼女は優しく微笑む。
…やっぱり可愛いなあ、平野さん。
私とは全然違う。
「やったあ!」
そんな、平野さんに喜ばれるなんて…。
友達ってこんなにも自分を幸せにしてくれるんだなあって思う。
「というわけで今度の土曜日は行けない」
その夜、トキさんに電話をした。
もう、私。大興奮で報告したんだけど…。
トキさん、残念がるって思っていたのに。
「そう、ちょっと残念。まあ、俺も用事あるけど」
トキさんは電話越しに何だか面白そうに笑っている。
「どこか行くの?」
時々、トキさんは大学の友達と飲み会に行ったりしてるのでそれかなって思ったんだけど。
「秘密」
ケタケタと笑うので何だか腹が立ってきた。
「トキさん、愛人と一緒なの?」
「遥、俺の事疑ってるの?」
腹立ち紛れに言っている様子でもなく、私をからかっている。
「…だって秘密って言うんだもん」
「秘密=愛人って短絡的」
トキさん、笑いすぎ!!
「もう切る」
と言って私はあっさりと切った。
トキさんが私に電話を掛けてくることはない。
家に電話することになるし。
私はトキさんに掛けるけど。
「…トキさんとせめて同い年だったらなあ」
思わず呟く。
こんな距離感、感じないのかもしれない。
トキさんと同い年なら。
もう、こんな家出て行ってトキさんの家に居候させてもらう。
だって20歳だし!!
親の同意なしに結婚できるし!!
そう考えて、また落ち込む。
私、トキさんと結婚することはないと思う。
年明けにお見合いするんだって、私。
相手がトキさんならいいのに…。
そう思ったら再びトキさんに電話を掛けていた。
「遥だろ?」
電話に出た瞬間、トキさんはそう言った。
「うん」
でも、何を言えばいいのか。
言葉が出てこない、沈黙を破ったのはトキさん。
「遥、俺に何か隠し事してない?」
いきなり直球投げられた!!
「…トキさん、会いたいなあ」
午後9時、到底家の外に出られない。
「また、日曜日に会えばいいだろ?」
「…トキさんとずーっと一緒にいたいなあ」
自分の太ももにポタポタと落ちる冷たい滴。
トキさんのため息が聞こえた。
「遥、一緒にいたいからといって、ご両親が言っている事を無視しちゃいけないと思う」
そうなんだけど。
でもね、トキさん!!
「俺、いつか認めてもらえるように頑張るから」
「…ありがとう」
でも、その前に。
私は…。
「ただ、遥を誰かに横取りされる、とかそういう事があるならば」
トキさんの声のトーンが低くなった。
「俺はそれなりの手段に出るけど。遥は誰にも渡さない」
涙が溢れ返ってしまった。
初めて、トキさんの前で号泣した。
と言っても電話越しだけど。
きっとトキさんは。
ずっと前からそういう事に気が付いていたんだと思う。
それは後から気付いたことだけど。