それもまた一つの選択
夏休みが終わり、2学期。
あの料理教室以降、私は平野さんと仲良くなって時々、一緒にお昼ご飯を食べるようになった。
「いいなあ」
それを見た柏原君は時々、そんな事を言いに来る。
「じゃあ、一緒にどう?」
と聞くと柏原君は顔を真っ赤にして
「いい、死にそう」
こんな事、私が言ったら大変失礼だと思うけれど、可愛いなあ、なんて思う。
「あの…」
少しだけ、平野さんとの距離を縮めるようなアイデアを思いついたのでそれを言おうとした時。
「柏原~!!」
ドタバタ、と平野さんと仲良しの生野さんが間に割り込んできた。
「ちょっといい?」
チラッと私を見る目が。
何となく嫌な空気を含んでいた。
まあ、よくある事。
「ごめん、また話するわ」
柏原君。
何も謝る事はないと思う。
手で謝るしぐさをして生野さんの後を付いて行った。
正直、生野さんは苦手。
平野さんには悪いから出来るだけそういう素振りは見せないけれど。
…それに私は。
元々平野さんの友達じゃないし。
どうしてもそれ以上は怖くて望めない。
大きくため息をついてトイレに向かう。
トイレの中に入ってからよく聞く声が聞こえた。
「…どうして柏原、今井さんと話してるんだろうね」
ああ、生野さんの声。
外に出られなくなった。
「そりゃ…仲良いからじゃない?」
少し苛立っている平野さんの声。
聞きたくないけれど、その会話を聞いてしまう。
「今井さん、柏原の事が好きなのかな」
今すぐ、このドアを開けて違う!!と言いたい。
「でも、今井さん、彼氏いてるって言ってたし。私、去年何度も一緒に帰るの見てるし」
平野さん、少し困ったような声をしている。
「えー!!真由、彼氏知ってるの?」
「えっ、有名な人よ。今はココの大学に通っているけど。
ほら、藤野さんって知らない?ゲーム製作で有名な…」
「あの、オタクっぽい人?」
ドアのカギに手を掛けた。
私の事はともかく。
トキさんが悪く言われるのは…許せない!!
「かれん、それは失礼と思うよ。
…藤野さん、苦労して今のステータスを手に入れた人って言われているし。
それに、凄く今井さんの事を大切にしているみたい」
水道から流れる水の音が響いた。
「…真由、何だか詳しく知っているのね。柏原にちょっかいかけているの、今井さんじゃない?腹が立たないの?」
「かれん、どうしたの。ちょっとおかしいよ?それくらい、みんな知ってるし。今井さんが柏原君にちょっかいかけてるようには思えない。
…今までだって、避けられている今井さんを庇うような事を言ったりしているのも柏原君からだし」
2人が立ち去っていく。
私はようやくドアを開けた。
平野さん、きっと私の事を庇ってくれたんだ。
少しだけ、胸の奥が暖かくなった。
あの料理教室以降、私は平野さんと仲良くなって時々、一緒にお昼ご飯を食べるようになった。
「いいなあ」
それを見た柏原君は時々、そんな事を言いに来る。
「じゃあ、一緒にどう?」
と聞くと柏原君は顔を真っ赤にして
「いい、死にそう」
こんな事、私が言ったら大変失礼だと思うけれど、可愛いなあ、なんて思う。
「あの…」
少しだけ、平野さんとの距離を縮めるようなアイデアを思いついたのでそれを言おうとした時。
「柏原~!!」
ドタバタ、と平野さんと仲良しの生野さんが間に割り込んできた。
「ちょっといい?」
チラッと私を見る目が。
何となく嫌な空気を含んでいた。
まあ、よくある事。
「ごめん、また話するわ」
柏原君。
何も謝る事はないと思う。
手で謝るしぐさをして生野さんの後を付いて行った。
正直、生野さんは苦手。
平野さんには悪いから出来るだけそういう素振りは見せないけれど。
…それに私は。
元々平野さんの友達じゃないし。
どうしてもそれ以上は怖くて望めない。
大きくため息をついてトイレに向かう。
トイレの中に入ってからよく聞く声が聞こえた。
「…どうして柏原、今井さんと話してるんだろうね」
ああ、生野さんの声。
外に出られなくなった。
「そりゃ…仲良いからじゃない?」
少し苛立っている平野さんの声。
聞きたくないけれど、その会話を聞いてしまう。
「今井さん、柏原の事が好きなのかな」
今すぐ、このドアを開けて違う!!と言いたい。
「でも、今井さん、彼氏いてるって言ってたし。私、去年何度も一緒に帰るの見てるし」
平野さん、少し困ったような声をしている。
「えー!!真由、彼氏知ってるの?」
「えっ、有名な人よ。今はココの大学に通っているけど。
ほら、藤野さんって知らない?ゲーム製作で有名な…」
「あの、オタクっぽい人?」
ドアのカギに手を掛けた。
私の事はともかく。
トキさんが悪く言われるのは…許せない!!
「かれん、それは失礼と思うよ。
…藤野さん、苦労して今のステータスを手に入れた人って言われているし。
それに、凄く今井さんの事を大切にしているみたい」
水道から流れる水の音が響いた。
「…真由、何だか詳しく知っているのね。柏原にちょっかいかけているの、今井さんじゃない?腹が立たないの?」
「かれん、どうしたの。ちょっとおかしいよ?それくらい、みんな知ってるし。今井さんが柏原君にちょっかいかけてるようには思えない。
…今までだって、避けられている今井さんを庇うような事を言ったりしているのも柏原君からだし」
2人が立ち去っていく。
私はようやくドアを開けた。
平野さん、きっと私の事を庇ってくれたんだ。
少しだけ、胸の奥が暖かくなった。