それもまた一つの選択
「あー、よく歩いたよね」

トキさんは芝生の上にに転がる。
私もその横に座る。

GW、二人で近くの公園を歩いた。
しかも、何周も。
たまには外に出よう、という事で朝からトキさんの家でお弁当を作って。
車で遠出すると渋滞に巻き込まれて17時に帰れなくなる可能性があるので近くの公園。
案外、ここは穴場なのか人が少なかった。

「トキさんから外に出掛けようなんて、珍しいね」

トキさんはチラッと私を見つめてそのまま頭を私の太腿に乗せた。

「これがしたかった」

そして私の腰に腕を回す。
思わず、私は後ろを振り返った。
絶対に…お母様の息のかかった人間が見ている。

「そんなに気にすることはないよ、遥」

最近、こういう事をトキさんは言う。

「もう付き合って2年経ったしね」

私の手を取り、左指に付けている指輪をなぞる。

「夏に一度、遥のご両親に会いに行こうと思う」

爆弾発言を聞いた、今。
トキさん、本気!?

「それくらいに会わないと卒業式の日に入籍なんて出来ないし。
あと、式はどうする?」

急に話が進んだ感じがして、何をどう答えて良いのかわからない。

「わからない…」

戸惑いしか出てこない。
そんな私を見てトキさんは少しだけ微笑んで

「ほら、結婚したいなら具体的に考えないと。
多分来年の今頃でも遥はこんな感じでぼんやりとしていると思うよ」

「トキさんはどれくらい先まで見つめているの?」

ふと感じた疑問。

「遥の事?」

「…会社の事も」

トキさんは起き上がって私を見つめる。

「遥の事は20年位先まで考えている。
来年の春には式を挙げて、もし遥が学校に行かないならその冬くらいには子供が欲しい。
学校へ行くならその間は子供はいらない。
出来るだけ遥は俺の傍に居て欲しい。だから働かないで欲しい」

そっと私の体を抱き寄せた。
トキさん、人が少ないとはいえ公衆の面前ですよっ!!

「俺の会社は…自分が死ぬ時の事まで考えている」

その目は真剣そのもの。
普段は少し冗談を入れたりするのに。
本気で考えている事が窺える。

「さて、そろそろ家に戻ろうかな。
ここじゃこれ以上の事は出来ないしね」

「トキさん!!」

私が顔を真っ赤にして言うとトキさんはしばらく笑い続けていた。
もうっ!!
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