それもまた一つの選択
3.同棲と高校生活と大学生活

高校生活の残りをどうするのか? - 遥 -

久しぶりの自分のベッド。

1週間も家にいないなんて、修学旅行よりも長い期間だったわ。

…ん?

何かが布団の中で足に触れた。

寝息が聞こえる。



あ!

慌てて目を開けると。
昨日、夜遅くまでお祖父様とお父様のお相手をしていたはずのトキさんが隣で気持ち良さそうに寝ていた。

そっと髪を撫でる。
ほんの少し、茶色の入った髪の毛。
その髪の毛にそっとキスをした。

その瞬間、トキさんの胸の中に私、顔を埋める形になっていた。

「おはよう、遥」

クスクスと笑いながらトキさんは私を抱きしめている。

「トキさん、苦しい…」

その体温が顔面で感じられるのは嬉しいけどね。
呼吸しづらい。

「仕掛けたのは遥だよ?」

あー。
またトキさんがSモードに入る。

「トキさんの髪の毛に触るチャンスは寝てる時しかないもん」

その髪の毛、大好きなんだけど。

「いつでも触って良いけど」

今度は頭を私に擦りつけてくる。

「そんな事言ったら…トキ、後悔するわよ?」

「あ、また呼び捨て」

トキさんを挑発する時は呼び捨てにする、という事をこの旅行で覚えた。

「遥こそ、後悔するなよ?
朝っぱらからでも俺は本気だぞ?」

トキさんは人差し指で私の顔をなぞる。

「えーい!」

トキさんの手を払いのけて髪の毛をグシャグシャにしてやった!
目を半開きにしたトキさん。

「よーうー?」

息が出来ないくらいの強烈なキスをお見舞いされた。



朝食後、トキさんは一旦家に帰った。
午後、学校とアポイントが取れたようで、話し合いの場が設けられる事になった。

お昼までに退学届を書き上げ、少しだけベッドの上に寝転ぶ。

なんだか。
ちょっと気持ち悪い。
旅行の疲れなのかな。

まだ心拍も確認された訳じゃないのに。
お父様、急いでる気がする。
学校の事も、会社の事も。

急ぐ必要があるのかしら?

そんな事を考えたらますます気持ち悪くなってきた。

私。

今日ちゃんとお話が出来るのかな。
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