虹のふもと
誰にもらったものかと、必死に考えていると

少女はまた楽しそうに笑いながら話す。

「何難しい顔してるの。

私は、宇佐美 陽 (うさみはる)


よろしくね」




少女は僕に右手を差し出した。

僕は、考えるのをやめて左手を少女に差し出し、


「桜井 太陽 (さくらいひなた)


女みたいな名前だけど、男だから。




よろしく」





自己紹介をする。

なんで、初めて会った女の子に自己紹介してるんだろ。

よろしくなんて、もう会うかどうか分からないのに。


僕がそんなつまらないことを考えているのも知らずに、少女は楽しそうに話し始める。

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