囚われの雑草姫と美麗冷酷男子の生活
和やかな雰囲気とまではいかないが
なんとなく皆が話をしていると
徐にお祖父さんがポケットから何やら取り出した

「そうだ…これはよく撮れているだろう?
この辺りからお前が本気だとは思っていたけどな…まぁ今日二人を見てさらに確信したよ、二人は一緒になれば強いだろう」

お祖父さまが差し出したのは
夜空をバックに彰貴さんが私を抱き締める写真

私の姿は写っていないけれど
彰貴さんは望遠でくっきりと顔が写っていた

(い、いつの間に…)

「お祖父様の差し金でしたか…誰かつけているなと思いましたが」

「はっはっはっ…やはりバレていたか…それでも彼女をカメラから隠すようにしていたお前は本気なんだろうなと思ったよ」


そんなわけはない
私は偽りの恋人で、彰貴さんから愛されてなどいないのだ

…もしかして…撮られることを前提にあの場所へ行ったのだろうか

(親戚に信じさせるため…)

探るように彰貴さんの横顔を見詰めたが
美しく冷たくさえ見える顔には何も動揺がなかった






「はぁ…」

帰宅すると彰貴さんは2階のソファーに身を投げ出した

「時には残酷にならなくちゃ会社のトップには上がれやしない、分かっているんだけどな…」

そんな風に私に向けてなのか、独り言なのか
呟いた彰貴さんはソファーで頭を抱えるから

私はそっと近付いて手を握る
長くて綺麗な指が冷たく、少し震えているから
温めたくて頬に柔らかく当てた

「本当にお疲れ様でした…」

声を掛けると

「有難う…那寿奈の手は癒やされるよ
君のようにオレも優しくて真っ直ぐになりたかったな…」

珍しく弱気な発言に聞こえた

「彰貴さんは充分優しいです…」

(本当に優しい人ですよ?)

私の言葉に彰貴さんは小さく微笑んで目を閉じた

疲れたのかそのまま動かなくなったので

私はゆっくり手を離して部屋に入り部屋着を手にするとシャワールームに行く

最近では2階のシャワールームは私、一階のバスルームは彰貴さんと何となく使う場所が決まってきていた

ドレスを脱いで身体を解放すると…気が緩んだのか涙が出てきた

それを誤魔化すようにシャワーで流す

(分かってる、この関係は偽り…)

優しい態度も甘い視線も抱き締める腕も

全部、全部

(嘘なんだから…)

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