囚われの雑草姫と美麗冷酷男子の生活
PPPP

アラームが鳴っていつの間にか私まで寝入ってしまったことを知る

「彰貴さん?」

隣に眠る彰貴さんに声を掛ければゆっくりと目を開いた彰貴さんがそこにいた

「おはよう…那寿奈…」

短い時間だったけれどぐっすり眠れたのか彰貴さんは晴れやかな顔をしている

「このまま君を腕の中に入れて居たいよ…仕事行くの止めようかな…」

「ダメですよ…行って下さいね?……んひゃっ…」

彰貴さんは私の鼻をペロッと舐めると指で唇をなぞってきた

その指の艶かしい感触にゾクリと身体が震え
こちらを見やる目が甘くて…胸が締め付けられる

(勘違いしそうになる…)

「那寿奈は良い香りがするし…抱き心地がすごくいい…」

「はへ…」

やっぱり私は抱き枕…

「…帰ってきたらまた抱いてもいいか?」

「は…はい…」

抱いていいか…なんて言われるとドキッとするが…

彰貴さんがいうソレは「抱き締めて寝ること」だ

抱き枕になる…のはだいぶ慣れた気がする…



よいしょと彰貴さんは立ち上がり身仕度をし始めたので

「わ、私後片付けしてきま…「ダメ、一緒にいなさい」

「え…」

邪魔だろうと部屋を出ようとしたら彰貴さんの腕に引き留められた

「き、着替えされるんですよね?」

「ああ、そこに座っていなさい…すぐ済むから」

「は、い…」

真っ白なYシャツに袖を通して濃紺のスーツに青緑色のネクタイ、髪は前髪を上げてセットしていた
終わるとこちらに近づいてきて手を握られる…

「…さっき…君に好きだと言われて嬉しかった」

「へ?」

「今まで…女性に好きだって言われても、みんなオレなんて見てなくて…信じられなかったけれど…那寿奈の言葉なら信じられた…」

彰貴さんは美しく唇を引き上げて…笑う

「那寿奈なら好きになれそうな気がする」

(何ですかソレ!)

「…ぁの…」

「これからも傍にいてくれるか?」

彰貴さんがぎゅっと手を握る

「居て…いいんですか?条件破ることになりますけど…」

「さっきも言ったけど…恋愛目的で君が引き受けた訳じゃないし、何より」

「何より?」

「君と居るとよく眠れるから…」

清々しい程に爽やかな笑顔でそう言われたら
モヤモヤしつつも嬉しかった







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