囚われの雑草姫と美麗冷酷男子の生活
(やっぱり抱き枕!!)

その事実にコケそうになるが…少なくとも受け入れられていることには喜びを感じる…

「そういうわけだから…条件については気にしなくていい」

「あ、有り難うございます…これからも精一杯…偽物婚約者をさせていただきます」

複雑な気持ちだったが…私は深々と頭を下げた

「うん、よろしく頼むよ!」

彰貴さんは嬉しそうに珍しく顔全体で笑う
その無邪気な笑顔に胸が思わずキュンとしてしまった

(こんな顔もするんだ…)

その後左東さんとは別の運転手が来て…彰貴さんは出社していった

後片付けをしてやることがなくなってしまい…
リビングでぼんやりしているとスマートフォンが着信を告げた

(え?誰?)

「はい…」

『お早うございます左東です…彰貴様より私同伴であれば外出許可が出ましたので、もしお出掛けの用事がありましたら…ついて参りますのでお申し付けください』

「有り難うございます…」

特に出掛けたい用事もなかったが…折角左東さんが連絡をくれたし…

「あの…行って頂きたいところがあるんですが…よろしいですか?」

「もちろんですとも!何なりと…」

少しだけ弾んだ声に聞こえたのは私の勘違いだろうか






「こちら…でよろしいんですか?那寿奈さん…」

「はい…ごめんなさいお買い物とかじゃなくて…どうしても両親と話したくて…」

私はお願いした花束を手に細い道を左東さんと歩く

ここは街外れにある墓地だ

陽がよく当たる高台に作られた墓地で…目的の場所はその中腹にある

「私はこちらで待ちますよ那寿奈さん」

通路の入り口に左東さんが立ち止まった
そこからしか通路には入れないから…見張るには丁度良いのだろう

「有り難うございます…話してきますね…」

花を手向けて水を掛ける
バタバタとしていて…来るのが随分久しぶりになってしまった…

「こんにちはお父さん、お母さん…」

色々あったけれど…
今は何とか穏やかに過ごしてると伝えたくて
自分で来るには遠い、ここに連れてきてしまった

「好きって難しいね…」

父さんと母さんはお見合い結婚だと言っていた
けれどそれが運命的な出逢いになり…すぐに恋に落ちたのだそうだ

(まさか亡くなる時まで一緒だなんて…)

「母さんに…相談したかったな」

呟いたその時、左東さんが叫んだ

「那寿奈さん、こちらへ!」

(え?)

見ると左東が止めていたが…男がこちらにこようとしていた

(っ!今さら)

< 35 / 81 >

この作品をシェア

pagetop