囚われの雑草姫と美麗冷酷男子の生活
車は真っ直ぐ邸宅に戻るかと思いきや
…どうやら勤務先のホテルのあるオフィス街に向かっているようだ
「あの…どこへ…」
聞こうとすると左東さんが先回りした
「間もなく着きますので少々お待ちください…」
車が滑り込んだのは…
ホテルからすぐの…大きなビル『辻堂ホールディングス』のエントランスだった
「時間通りだな」
扉が開いて入ってきたのは彰貴さんで…
「彰貴さ…「大丈夫だったか?」
入ってくるなり後部座席で抱き締められる
目の前いっぱいに彰貴さんの身体が来て
爽やかな柑橘系の香りに気持ちが緩んでいく
「…ん…ごめんなさい…」
「何が?こちらこそ悪かったそあんな輩、排除しておくべきだった」
「え?」
吃驚して顔を上げると彰貴さんが困ったように眉を下げた
「すまない……最近那寿奈を嗅ぎまわっている輩が居るのを把握したばかりだったのに…」
「そう…でしたか…」
隠しても仕方ないけれど知られたくはなかった
…歪んで知られるよりは自分で話した方が良いだろう
「私はあの人が言うように雑草なんです…親もなく、財産もなく…全て失いました…」
「噓でしょう?」
知らせを聞いた時、信じられなかった…
夫婦仲良く出かけたのは仕事の出張を兼ねた20日間の海外旅行
私は大学卒業前で…卒業論文を仕上げるためと理由をつけて付いていかず
両親は二人だけの旅行なんて久々だと喜んでいたし
心配する両親を余所に自由に暮らしていた
そして旅行の終盤、旅行先で交通事故に巻き込まれて両親とも亡くなってしまったのだ
20歳を過ぎてはいたけれど、学生でまだまだ子ども…手続きを一人ですることもできず
親戚だという会ったこともない弁護士を通じて様々な手続きをした
両親はきちんと保険などを残してくれ、土地や敷も相続できるようになっていたし
人並みに仕事をしていけば生活には困らないはずだった
「そこへ近づいたのがアイツか…」
彰貴さんが静かに呟いた
静かな車内…左東さんは何も言葉を発さず…車はゆっくりと走り出した
「はい…」
近づいてきたのは坂下…親戚を名乗る弁護士についたパラリーガルだった
彼は巧みに私を罠に嵌めた
最初から弁護士と組んで私を騙したのだと後で知った
両親を亡くして気持ちも弱くなっていたし
社会に出たばかり、賢くもなかった私の不安定な気持ちの所につけこんで…
優しくて理解のある男性を演じて近づき
遂には…結婚の約束をした
「それを悪用されたんだな…」
…どうやら勤務先のホテルのあるオフィス街に向かっているようだ
「あの…どこへ…」
聞こうとすると左東さんが先回りした
「間もなく着きますので少々お待ちください…」
車が滑り込んだのは…
ホテルからすぐの…大きなビル『辻堂ホールディングス』のエントランスだった
「時間通りだな」
扉が開いて入ってきたのは彰貴さんで…
「彰貴さ…「大丈夫だったか?」
入ってくるなり後部座席で抱き締められる
目の前いっぱいに彰貴さんの身体が来て
爽やかな柑橘系の香りに気持ちが緩んでいく
「…ん…ごめんなさい…」
「何が?こちらこそ悪かったそあんな輩、排除しておくべきだった」
「え?」
吃驚して顔を上げると彰貴さんが困ったように眉を下げた
「すまない……最近那寿奈を嗅ぎまわっている輩が居るのを把握したばかりだったのに…」
「そう…でしたか…」
隠しても仕方ないけれど知られたくはなかった
…歪んで知られるよりは自分で話した方が良いだろう
「私はあの人が言うように雑草なんです…親もなく、財産もなく…全て失いました…」
「噓でしょう?」
知らせを聞いた時、信じられなかった…
夫婦仲良く出かけたのは仕事の出張を兼ねた20日間の海外旅行
私は大学卒業前で…卒業論文を仕上げるためと理由をつけて付いていかず
両親は二人だけの旅行なんて久々だと喜んでいたし
心配する両親を余所に自由に暮らしていた
そして旅行の終盤、旅行先で交通事故に巻き込まれて両親とも亡くなってしまったのだ
20歳を過ぎてはいたけれど、学生でまだまだ子ども…手続きを一人ですることもできず
親戚だという会ったこともない弁護士を通じて様々な手続きをした
両親はきちんと保険などを残してくれ、土地や敷も相続できるようになっていたし
人並みに仕事をしていけば生活には困らないはずだった
「そこへ近づいたのがアイツか…」
彰貴さんが静かに呟いた
静かな車内…左東さんは何も言葉を発さず…車はゆっくりと走り出した
「はい…」
近づいてきたのは坂下…親戚を名乗る弁護士についたパラリーガルだった
彼は巧みに私を罠に嵌めた
最初から弁護士と組んで私を騙したのだと後で知った
両親を亡くして気持ちも弱くなっていたし
社会に出たばかり、賢くもなかった私の不安定な気持ちの所につけこんで…
優しくて理解のある男性を演じて近づき
遂には…結婚の約束をした
「それを悪用されたんだな…」