囚われの雑草姫と美麗冷酷男子の生活

「ん…」

気がつくと辺りが明るくなっていて
最近で一番熟睡できたなぁと頭の片隅に自覚しながら
意識と身体が目覚めていく

ぼんやりと見えたのは黄色いブランケット

少し手を動かすとふわふわで滑らかな肌触りに笑みが出そうになる

(気持ちいい…ってここどこ？)

私は一瞬どこにいるのか分からなかった

(ん？)

目をパチリと見開いて…周りが見えてきた

可愛らしい白いレースがあしらわれた黄色いカーテン
クリーム色の壁

(あ、そういえば)

私はすぐに昨夜の事を思い出した

時計をみると朝6時

いつもの起床時間だ

急いで支度をして部屋を飛び出すと
部屋の外…広い部屋に辻堂さんが窓辺のソファーに
座っていた

昨夜は気が付かなかったが

窓からは綺麗な森が見えていてその森を眺めるようにソファーが窓辺に置かれていたらしい

「…おはようございます」

恐る恐る声を掛けると辻堂さんがこちらを振り返る

「ああ、おはよう…」

朝の顔から麗しい……

(私の顔は酷く浮腫んでるのに……)

「寝ていて良かったのに……早いな」

「いつもの習慣で、辻堂さん「彰貴……婚約者だからな、そう呼んでくれ那寿奈」

私が辻堂さんと言うと訂正された

「そうだ……これを読んで貰えるか？」

「はい……」

手渡されたのはA4用紙１枚で、表裏両面に印刷されていた

『条件
１、お互いに家の中では自由に暮らす
２、対外的には婚約者として振る舞う
３、居住食など生活費は彰貴が負担する
４、二人の間に恋愛感情は持ち込まない』

裏には設定が書かれていた

レストランで働く私を見初め、彰貴さんから申し出てて極秘で付き合いを重ね
つい先日プロポーズをして婚約者になった

や、お互いの呼び名は下の名前

などなど、細かく設定があり．．．何か聞かれた時にはこれを使用するということらしい
また、行動の制限については仕事へのの外出は出来るが必ず運転手付で通勤し、決して一人で行かないこと
買い物などは取り寄せるため無断の外出はしないことなど書かれていた

(仕事は行けるんだ…)


「これさえ守ってくれれば…半年ほどで関係は解放する…飲んでくれるか？」

彰貴さんはほとんど表情を動かさずに呟いた

読み返すと…私は何もしなくて良いように見えて心苦しい

(何か出来ること…あっ)

「あの…」

「なんだ？」

「食事は私が作っても良いですか？もちろん…無理に召し上がってくださいとは申しませんけれど…」

私の言葉に彰貴さんが目を見開く

「食事…作れるのか？」

「あの、そのフルコースは無理ですけど家庭料理でしたら…ずっと自炊してましたし…」

彰貴さんは昨夜と同じように長い指を顎に添えた

…考えるときの癖なのだろうか

「分かった。では、食べさせて貰おうかな…いいか？」

「はい、それで判断していただければ…私にも何かさせて頂きたいので…」

お世話になるならそれくらいは返したい