誓いのキスを何度でも
夕方、私がいつも行くスーパーに寄ってくれ、
車の中で、誠太郎とお留守番してくれると言って、
スーパーに車を入れてくれて買い物を済ませて帰る。

至れり尽くせりだ。
主婦の私の行動をわかっている。

「僕も、独り暮らしが長いし、自炊だから、スーパーの買い物は必須だよ。」
と贅沢なお出かけの後に少し庶民的な感じも誠太郎に見せることも忘れない。

シンさんは結構、策略家だ。

私が買い物から戻ると、誠太郎は楽しそうに笑いながら、

「トキちゃんって呼んでいいんだって。メッセージも交換できるようにしたんだよ。」と誠太郎が私にスマホを見せる。

なるほど。

常盤先生をトキちゃんと呼ぶのは誠太郎だけだろう。
なんといっても、放射線科の副部長なんだから…
誠太郎に外で呼ばないように言い聞かせなくては…

でも、最後に連絡先まで交換するとは満点の顔合わせだ。

私のことも初めはちゃん付けだったけど、
誠太郎がシンさんに慣れた頃に「果歩」と呼んで、親しさを出している気がするし…

シンさんはとっても、上手く私達に近づいて来る。


シンさんはマンションの前で車を停め、高い助手席から誠太郎の手を握ってピョンと下ろして、
そのまま、キュッと抱きしめ、

「誠太郎くん、また、再来週。」と体を離し、

両手に荷物を持って誠太郎の隣に立った私もついでのようにキュッと抱きしめ、

「またね。果歩」と私の耳に唇を付けて囁いてから車に乗り込み去って行った。

私は思わず、赤くなる。


私達は車が見えなくなるまで並んで見送り、

夢が覚めたように「帰ろっか」と誠太郎に言って、マンションの階段をゆっくり上がった。



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