誓いのキスを何度でも
その夜、私のスマホに知らない番号から電話がある。

恐る恐る画面をタップすると、案の定、というか誠一からの連絡だった。

「スマホ新しく買ったんだ。持っていたのは家に置いてきたから…
これ、俺の番号。登録しといて。
あとさあ、俺、正式にアルバイトで雇ってもらえることになったよ。
当直はあるけど、毎週、土日休み。」と楽しそうな声を出す。

「誰に私の番号を聞いたの?」と不機嫌な声を出すと、

「桜子先輩に頼みこんで教えてもらった。
自分で聞けって言われたけど、アイツは知ってるんだから、
俺も知りたいって言ったら、
まあそうかって言って、教えてくれた。」と笑っている。

アイツじゃなくて常盤先生だから…
ずっと、年上でしょ。と思う。

「果歩、デートどうだった?」

「楽しかったですよ。美味しい焼肉も頂きましたし、プラネタリウムに連れて行ってもらった。」

…報告義務はないんだけど…と思いながらも少し話しておく。

「プラネタリウム?そうきたかー。
アイツって天体オタク?」

「知りませんけど、誠太郎は楽しかったみたいですよ」

「そうか。そうだよな。俺に似てれば好奇心旺盛か…」

「別にあなたに似てるってわけじゃないでしょ」

「ねえ、誠太郎に変わって。」

「なんで?」

「ここで言わせたい?俺はー!誠太郎のー!父親…」

「もう、大声出さないで。誠太郎には言わないでよ。」とテレビを見ていた誠太郎を呼ぶと、

「誰?トキちゃん?」

と言いながら電話を受け取る。いや、トキちゃんはやめて。と思っていると、

「ええ?そうだけど…桜庭さんもサクちゃんって呼ばれたいの?
うん。楽しかったよ。
焼肉も美味しかった。
来週?うん、サッカークラブの見学だけど…
一緒に行くの?
トキちゃんが桜庭さんが行きたがるだろうって…
うん。サクちゃん。だった。わかったよ。
サッカー好きなの?
ゲーム?攻略本買ったの?!やる!
サッカー終わったら一緒にやる!」

丸聞こえの電話の内容が少しおかしい。

シンさんが言っていたように1週間交代で誠太郎にアプローチするつもりなんだね。

やれやれ

トキちゃん。
サクちゃん。

誠太郎の新しい年上の友達みたいだ。

と首を振りながら家事に戻った。


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