この手だけは、ぜったい離さない



「あかり、なにぼーっとしてるの?バスきたよ!」

「えっ?あぁっ、うん!」



洋くんが私の知らない洋くんになっちゃった。

なんだか寂しいなぁ、なんてぼんやりと考えていた私はみっちゃんの声に慌ててバスに飛びのった。



ここから学校までは約30分。

バスの中には5人くらい同じ制服を着た生徒と、お婆さんが3人乗っているだけ。



今は人が少ないけど、学校に近づくにつれてだんだん生徒が増えてくることを昨日学んだ。

だからまだ乗客があまりいないうちに乗車できる私たちは、かなりラッキーなのだ。



「みっちゃん、いちばん後ろの席に座ろう」

「はいはい、どこにでもついて行きますよ」



みっちゃんはふふっとクールに笑いながら、窓の外を見てはしゃぐ私の隣に座った。




「ほんっとにあかりは6年前となにも変わらないよねぇ。そうやって窓にひっついて外を見てる横顔とか、小学3年生のころの社会科見学を思いだすよ」

「えー、それって幼稚ってこと?そんなに変わってないかなぁ私?」


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