この手だけは、ぜったい離さない



するとまた、はるちゃんの瞳が鋭くなる。



「え?それ本気で言ってるの?あかりちゃんと洋は幼なじみだし友達なんでしょ?」

「うん……洋くんのことはずっと、いちばんの友達だと思ってた。でも、そうやって洋くんのことを大事に想う気持ちこそが、恋だったんだって気づいたの」



はるちゃんと公園で話したときに気づいたんだよ、って付け加えると。

はるちゃんは不満そうに眉間にしわを寄せた。



やっぱり……こんなこと、言うんじゃなかったかな?

嫌な気分にさせるつもりで、はるちゃんにカミングアウトしたわけではないのに…。



私も洋くんのことが好きだけど、でもはるちゃんだって洋くんのことが好きだもんね。

そんな、はるちゃんの気持ちも私は大切にしたかった。

だからお互いにがんばろうね、って応援しあえたらなって思いで告白したんだけど。



「へぇ、そうなんだぁ。でも残念だね。あかりちゃんは洋の彼女にはなれないよ。だって洋は、あかりちゃんのことを女として見てないんだから」



敵意に満ちた瞳で私を睨みつけるはるちゃんは『お互いがんばろうね』だなんて、これっぽっちも思ってなくて。



「むりむり、あかりちゃんは洋とは付き合えないよ。一緒に帰ったりしてるからって思いあがってるんなら、少しは現実を見た方がいいよ」



はるちゃんの口から放たれた棘のある言葉が、私の胸にいくつも突き刺さった。



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