さすれば恋となる
体育は持久走。
緋衣呂君が見ているかもと思うだけで走れる。
でも、爽やかには走れないのが悲しい。
終わればなんて事ない、項垂れ、持久走に文句を言いながら戻る。
下駄箱、見慣れない光景が目の前にあった。
こ、これは!!
「 詩乃、何してんの? 置いてくよ 」
まさか、これは……
“昼休みに図書室で待ってます”
私にだ、だよね。
「 あー!詩乃、あんた… ちょっと彩音見てよ、詩乃が貰ったよ 」
「 ちょっと!! 香っ 」
「 わ! あんたモテ期到来? 」
「 モテ期? 私が? でもでも、緋衣呂君がいるから、断るよ 」
香と彩音からの冷やかしにもうまく対処したつもり。
でも、手紙をくれた人にはきちんと断らないとダメだ。
二人に昼休みは会って断ってくると伝えた。
そして昼休み。
せめて食べて、少し待たせてから行けと言われて15分後に図書室へ。