さすれば恋となる
あはは~ まさかね。
「 緋衣呂君、良かったら… 手を繋がない?」
「 繋がない 」
え… ええ! なんで……
まさかまだ怒ってる?
昨日は昨日、そうじゃないってこと?
「 緋衣呂君… 怒ってるんだね 」
「 怒ってないよ、詩乃が可愛いから照れくさいだけ 」
緋衣呂君…
照れくさいって?
だったら……
緋衣呂君の手に自分から繋ごうと手を出すと、見事に掠められた。
あ、あれ?
「 詩乃、照れくさいって言ったろ? 絶対繋がない 」
え… なんで?
なんで絶対って断言しちゃうわけ?
ただただ緋衣呂君の隣に並んで歩くだけ。
バスに乗ってもほぼ肩が密着してるのに手はやつり繋がない。
だから、自分の手を握るだけ。
なんて寂しいっ……