さすれば恋となる

デパート内にある映画館。

私は見たいのがあった、ホラーだ。

でもさすがにデートでホラーはないと考えアクション映画に内心決めて緋衣呂君に話してみた。



「 緋衣呂君、アクション映画… 」

「 あれだな、恋人たちの未来像ってやつ 」



え、コテコテの恋愛映画だけど……



「 アクションもあるよ、最近話題になってたやつだよ 」

「 映画と言えば、あれを見なくてどうする 」



マ、マジで言ってる?

でも恋愛って、どうしよう……

嫌いじゃないけどレンタルで見れるし、迫力ならアクションのが圧巻なんだけど……



緋衣呂君の独断で決定になりチケットを買った。

ポップコーンは無しで。

口寂しさがあるものの、チャンス到来だと気づいた。

映画を見ながら手を繋ぐという目的。

言えば断られてしまう、ならば繋ぐのみ。


照明が落ち予告が始まる。



絶対、繋いで見る!



そう… と、手を握ろうとしたら またもや失敗に終わる。



「 詩乃 」

「 緋、緋衣呂君…… 」



暗い中でいきなり近づいた緋衣呂君の顔。

さらには緋衣呂君の唇が耳に触れそうで触れないところで囁いた。



「 …次、繋ごうとしたらお仕置き 」



耳がどんなに熱かったか……

緋衣呂君の声が耳に張り付いてる。




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