さすれば恋となる
図書室… 図書室……
会いたい、緋衣呂君……
はぁ、はぁ、はぁ……
息が切れた。
私は緋衣呂君に対してだけ、必死になれる。
恐る恐る図書室の戸を開けてみる。
独特の空気が戸から流れてくるのを切るように中へ。
「 ……緋衣呂君いる?」
しん…… とする、返事がない。
いないのかと気持ちが沈んでしまう。
「 詩乃 」
紛れもなく緋衣呂君の声。
私の耳が緋衣呂君の声がした方へ足を向かせてくれる。
そして目の前に、いた。
「 緋衣呂君…… 」
視界が、緋衣呂君を滲ませてくる。
涙が嫌でも込み上げて……
抱きしめたい、緋衣呂君を。
「 詩乃、おいで 」
「 緋衣呂君っ 」
予想に反して緋衣呂君が私に腕を広げてくれたおかげで、私は緋衣呂君に飛び込んだ。
「 おはよ、緋衣呂君… 会いたかったよ 」
「 そんなに俺が待ち遠しかった?」
「 うん、そうだよ 」
私、緋衣呂君を抱きしめたいって思ってたの。
「 緋衣呂君に染まったの、頭の先から爪先まで、心も全部 」
「 ……詩乃、まだ“そういう事”してないのに染まったの?」
え、ええっ!?
緋衣呂君の顔が、近づいて…
どうにも、そんなんじゃないと反論が出来なくて……
「 詩乃はせっかちだな… まだキスも1回だけなのに……奪いたくなるだろ 」
触れそうで奪ってもらえるなら、キスを……
目を閉じて、触れる唇を待って……
「 詩乃、好きだよ 」
2回目。
キス。
焦れったい、焦がれるキス。
優しくて温かくて……
2回目のキスは少し長くて、深め。
恋しかったキスをした。