さすれば恋となる

風磨君に連れて行かれたのは石嶺邸。

古くからある和の佇まいの家屋。

行き届いた庭はまるで庭園のよう。




「 歩くと軋むからさ、子供の頃ふざけてたら 床板ぶち抜いた事もあったよ 」

「 やんちゃだったんだね 」

「 子供だからね、それなりに 」



風磨君の部屋に通され、待つこと数十分…

オレンジティーを持って来てくれた。



「 初めて飲んだよ、美味しいね 」

「 落ち着いた?」



聞かれて見つめるオレンジティー。

そんな私に風磨君は私に言えなかった事を伝えるため連れてきたと言う。



「 詩乃ちゃん 」



呼ばれて風磨君を見た。



「 緋衣呂の願い、言ってなかったから… 」



それを聞いたら、ダメな気がした。

でも、知ってほしいと風磨君は思ってるから…



「 池沢の血縁を絶つこと 」



聞いて、ああ… やっぱり…… そう思ってる自分がいた。

言ってる意味は、わかるつもり。

緋衣呂君と暁月君で、池沢家は終わり。

子を成さず、短命を絶つこと。


それの意味は、私を儚く静かに突き落とした。




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