さすれば恋となる

耳を疑った。

だって、まさか…



「 暁月君が倒れたって… どうして?」

「 わからない 」



わからないって… そんなの、私じゃもっとわかんないよ。

や、だ……

心臓が痛い。

体が、震える……



「 詩乃ちゃん、大丈夫?」



私は風磨君に手を繋がれたまま、しゃがみこんだ。

立ってられない。



「 詩乃ちゃ… 」

「 …願い…… 風磨君… 緋衣呂君を、守ってよ 」



暁月君は緋衣呂君より弱い。

何かあったら、そんな風に考えたくないのに頭が考えてしまう。

怖い事を思ってしまうの。



「 助けて… 」



どうか、どうかっ……



「 詩乃ちゃん、今は緋衣呂には会えないと思う。たぶん、しばらくは… 今からちょっと俺に付き合って 」



風磨君に言われて支えられながら立ち上り一緒に行く。



緋衣呂君……

待ってるから、声を聞かせて。







< 69 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop