【短】君のこと、離してなんてあげない。
ズキッと胸が痛む。
あたしのこと、そういう目で見てないのも知ってたし。
あたしがそういう目で見ちゃいけないことも、知ってた。
それでも、そんなことは言ってほしくなかった。
「いりません」
「遠慮しないで、持って帰ればいいのに」
「責任とってオーナーが食べてください」
「俺が? はは。あんなに食べたら病気になるよ」
「まったく……。仕入れすぎですよ」
女子高生に叱られてるというのに、ニタニタしてるオーナー。
なにが面白いんですか。
「イヴなのにケーキがなくて困ってる人が一人でもいたら、助けてあげられるかなって思ってねぇ」
「慈善事業じゃないんですから。採算のとれる経営してください」
「手厳しいねぇ。いや、しっかりしてる。『採算』なんてあんまり使わないよね、女子高生が。さすが商業科。感心感心」
「ちょっとバカにしてませんか?」
「いいや? 全然?」
「……っ、なんかやだ」
「やっぱりかわいい」
「え?」
「若いねぇ」
――!!
また、子供扱いですか……。
「……こんなオジサンに熱をあげるなんてさ」
――え?
いま、なんて……?
「ねえ、教えてよ。いま雪華ちゃんの一番欲しいもの」