Dear Hero
冬になる頃には、周りは受験モード一色だった。
もちろん、俺たちも例外じゃない。
大護も俺も、志望校は同じだったからよく一緒に勉強していた。
まぁ…おつむが同じレベルだからね。そうなるよな。


「紺野の誕生日プレゼント、何あげんの?」

図書館で勉強しながらのこそこそトーク。
静かにしてないといけないなんて、むず痒くて性に合わない。

「ヘアピン買った」
「へぇ、もう決めてんだ」
「なんか……女の子らしくなりたい、みたいな事を前言ってたから」
「ふーん。一人で買いに行ったの?」
「……しょうがねーじゃん。姉ちゃんとか連れてったらうるせーし」
「女子で溢れかえる店で大護がヘアピン選んでる姿とか、超ウケる」
「笑うなよ!めちゃくちゃ恥ずかしかったんだぞ!」
「そこ!静かにしなさい!」

ニヤニヤする俺に思わず大声が出る大護。
先生に叱られた大護は、「……哲ちゃんのせいじゃん」とぶーたれてた。


誕生日の次の日から、紺野はオレンジ色のヘアピンを毎日つけるようになっていたから、きっとそれが大護からのプレゼントなんだろうなと思った。
もちろん、俺は何もあげていない。
気持ちを悟られるような事は、したくなかった。





—————そして、あの事件が起こる。




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